児童相談所の機能強化は長年の課題とされてきたが、今回の事件によって問題が顕在化した。国も自治体も対策に乗り出し、機能強化されることに期待したい。そして、もう一歩手前の段階で救える親子もいる。子どもの姿から、子どもの置かれた家庭環境、そして社会問題を見出すことのできる視野の広いベテラン保育士が、ほんの10年ほど前まではきちんと保育所に存在し、「お父さん、お母さん、大丈夫。みんな悩みは同じだから」と言って、親子を救ってきた。保育所こそ、いろいろな親子のケースを見てきている。血のつながらない親子も珍しくはなく、結愛ちゃんのケースでも、保育所という拠り所があれば、保育士も何かアドバイスできることがあったのではないだろうか。そうした保育士の役割にも注目し、保育所を通じた虐待防止のシステムも充実させるべきだろう。それには、資質ある保育士が働き続けられる労働環境の整備が不可欠だ。

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