吉本興業のピン芸人・グイグイ大脇こと大脇拓平容疑者が強制わいせつの疑いで4日に逮捕された。
芸人さんの中でも飛びぬけてポップで明るい空気を持った人で、面白いというよりも楽しいという形容詞がぴったりくる存在。お笑いの取材をして約20年になるが、仕事抜きにして大好きな芸人さんだった。
奥さんや子どもたちにも何度も会っている。個人的に忸怩たる思いは一向に消えないし、娘を持つ身としては被害女性のダメージを考えると気持ちは重たくなるばかりでもある。関西の演芸界にはとりわけ強い衝撃を与えたニュースでもあったが、今回のことで改めて痛感したのがタレント・たむらけんじの大きさだった。
全国的には、フジテレビ系の人気番組だった「めちゃ×2イケてるッ!」などにふんどし姿で登場するキャラクター芸人といった認識を持っている人が多いかもしれないが、関西では押しも押されもせぬ売れっ子。ABCテレビ「おはよう朝日です」、MBSテレビ「ちちんぷいぷい」、関西テレビ「よ~いドン!」、読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」など各局を代表する番組でレギュラーを持ち、見ない日はない。
さらには、何かしら関西の芸人にトラブルがあった際に、まず相談に行く“最寄りの警察署”のような役割も果たしている。実際、大脇の逮捕翌日にたむらと話をしたが、どんなメディアよりも事細かに情報を把握していたし、大脇の家族へのケアもいろいろと手を打っていた。
たむらとは僕がデイリースポーツの駆け出しの記者の頃、今から17~18年前からの付き合いで、家族ぐるみで旅行もする間柄。ABCテレビ「おはよう朝日です」でも毎週共演しているが、今回のみならず、人間としてのなんとも言えぬ器の大きさを間近で見てきた。
真っ先に思い出されるのは、出会った頃、飲食店を何軒かハシゴしながら、大阪・ミナミの心斎橋筋商店街を一緒に歩いていた時のことだ。時刻は夜中3時頃。商店街から一本横にそれた小道で、いわゆるヤンキー同士が激しくケンカをしていた。小競り合いというレベルではなく、かなり派手なバトル。ただ、小道の奥の方での出来事だったので、商店街の通りからは離れてもいるし“我関せず”で横を通り過ぎるのが自然な距離感でもあったが、ふと横を見るとたむらがいない。わざわざ小道に入り、ズンズンとヤンキーの方に向かっている。そして、つかみ合い真っただ中のヤンキー2人に声をかけて「ちょっと、ちょっと…。ケンカなんてしたって、何にもエエことないから、やめときって!」とさも当たり前のように仲裁に入った。