まもなく行われるオススメのライヴについて、インタビューをまじえて紹介する「LOVE YOU LIVE!」。第2回はCHEMISTRYです。
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堂珍嘉邦と川畑 要が声を重ねる吐息のような導入部。作品の世界に一気に引き込まれる。CHEMISTRYが6月20日にリリースするR&Bナンバー「Heaven Only Knows」は、主人公が失った愛をただただ悔やむ物語。堂珍と川畑の声には悲しみがにじむ。カップリング曲のラヴバラード「13ヶ月」でも失くした愛が歌われている。こちらは、悲しみに懐かしさと感謝も混じり合う。
こうした微妙な感情をシンガーはどのようなマインドで表現するのだろう――。
「歌っているときには、自分自身が体験した出会いや別れのシーンがよみがえります。それが声になる。“愛している”という言葉も、若いころのある意味ひとりよがりな愛と、出会いや別れを体験してきた今の愛は解釈が違いますよね。だから、響き方も、声そのものも変化していると思いますね」(堂珍)
シンガーにも私生活がある。自分自身の出会いや別れ、喜びや悲しみが声にじみ、情緒が増す。技術だけではなく、その人が歩いてきた日々は声になる。この情緒は新曲だけではなく、CHEMISTRYが今、デビュー時の曲を歌っても感じる。
「デビュー曲の『PIECES OF A DREAM』もリリース時と今では、声の響きはもちろん、伝わる内容も違うはずです。僕が“愛”ってなんだろう? と考えたとき、この10年、20年、さまざまな喜びや悲しみを超えてきた自分の愛があり、多くの人からいただいた愛がある。そういう歩みが、今歌う『PIECES OF A DREAM』から伝わると思います。これはあくまでも音楽に対する僕個人の理解ですけれど」
テレビ番組『ASAYAN』の男子ボーカリストオーディションで選ばれたCHEMISTRYは2001年にファーストシングル「PIECES OF A DREAM」がミリオンヒット。ファーストアルバム『The Way We Are』は300万枚の大ヒットとなった。CDの累計売上枚数1800万枚だ。ところが、2012年のツアーで彼らは活動を休止。2年が過ぎ、3年が過ぎ、ファンがいよいよ気をもみ始めた2017年に東京国際フォーラムのステージに再び2人が並んで立った。「Heaven Only Knows/13ヶ月」は再出発後2枚目のシングルになる。