イラクの核開発の可能性が騒がれる中で、中東でイラクとの覇権争いをしているサウジアラビアが、イランの状況をにらみながら自らもその可能性を模索していると言われています。

 現在、サウジアラビアは、アメリカとの原子力協定の交渉を本格化させていますが、その交渉の中で、ウラン濃縮や再処理を禁止したいアメリカに対して、否定的な態度をとり続けてきました。米議会などからは核拡散につながるような原子力協定には強い懸念が示されてきましたが、この3月、サウジのムハンマド皇太子は、「イランが核兵器を開発すれば、サウジはすぐに追随する」との発言をしました。これを受け、ある米議員からは、直ちに「皇太子は、サウジが原子力を求めるのは、電力ではなく、地政学上の力のため(注:安全保障のため、との意味)だとの疑念を認めた」との声明が出されています。

 今回の米国のイラン核合意離脱に対しては世界の多くの国が批判的ですが、イスラエルとともにサウジも離脱を支持しています。

 そのサウジが、名指しするのが日本です。

 日本は、日米原子力協定で、再処理とウラン濃縮の権限をアメリカから認められています。これは非核国では唯一です。米政府当局は、サウジから「日本に認めてどうしてサウジには認めないのか」と日本を名指しで指摘され、頭を抱えています。

 もっとも、日本が再処理やウラン濃縮を認められていることを他国に指摘されるのは、サウジが初めてではありません。

 お隣の国、韓国も、日本が認められているのになぜ韓国はダメなのか、とアメリカへ強力な交渉を続け、2015年、乾式再処理の研究開発実施をアメリカに認めさせています。

 現在、日本は、再処理により取り出したプルトニウムを47トン(核弾頭6000発分)も保有していますが、これについても多くの国から批判されてきました。アメリカの政府関係者等からも常に懸念が示され続けており、本年2月には、米議会で、日米原子力協定については改定交渉すべきではないかという質問までも飛び出しています。

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