ソフトバンク・内川聖一 (c)朝日新聞社
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 ソフトバンクの内川聖一が5月9日、対西武戦で通算2千本安打を達成した。それを記念して、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、彼を巡る“B級ニュース”を振り返ってもらった。

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 “内川ログアウト事件”として語り継がれているのが、ソフトバンク移籍1年目、2011年9月24日の楽天戦(Kスタ宮城)での出来事だ。

 0対2の3回2死、中村真人がカウント2-2から左翼線に大飛球を打ち上げた。レフト・内川聖一はライン際まで全力疾走し、必死にグラブを差し出して捕球を試みたが、ボールはグラブのわずか先をかすめるようにして、ラインギリギリにポトリ。珍事が起きたのはこの直後だった。 

 ファウルゾーンを転々とするボールを追った内川は、勢い余ってフェンス横の扉に激突。たまたま施錠されていなかったことから、次の瞬間、その姿は、扉の中にドロン!と消えてしまったのだ。

 それでも、すぐに体を180度反転させてグラウンドに戻ると、ボールを処理。好返球で三進を阻止したのは、さすがだった。ちなみにこの回は、先頭打者・内村賢介の左翼線を襲った大飛球のランニングキャッチに失敗し、プロ1号となるランニング本塁打をプレゼントしたばかり(内村にとっては、8年間のプロ生活で唯一の本塁打)。それだけに「1イニング2ランニング弾は何としても避けたい」の必死の思いがログアウトを誘発してしまったようだ。

 さらに、15年4月21日の楽天戦(ヤフオクドーム)では、3回1死一塁、聖沢涼が左翼フェンス際に打ち上げた大飛球を追った際に、またしても勢い余って施錠されていない扉を腕で押し開けてしまった。幸い今度は「消える」ことはなかったものの、「開くんだったら隠れちゃおうかな(笑)」と本人。くしくも同じ楽天戦とあって、4年前のログアウト事件を思い出したファンも多かったことだろう。

 ファインプレーが常にけがの危険性と隣り合わせであることを改めて痛感させられたのが、2014年8月28日の日本ハム戦(ヤフオクドーム)。

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グラウンドに顔面を強打…