ところが、2日後の同5日、まさかのどんでん返しが待っていた。パリーグ記録部がこの試合の勝ち投手を、2回途中から3イニングを投げ、無失点に抑えた谷良治に訂正したのだ。チームは谷が登板中の3回に勝ち越しているにもかかわらず、手違いで勝利投手が原田になっていたという次第……。

 この結果、プロ初勝利が幻と消えた原田は「僕が一番多く(イニングを)投げていたので、勝ち星をもらえると思っていたのに……」とガックリ。この日登板した日本ハム戦(後楽園)では、8回に田村藤夫に同点2ランを浴びたとあって、「もうダブルショックです」と落ち込んだ。

 だが、「新たな気持ちでやり直します」と同18日のロッテ戦(川崎)でプロ初先発をはたすと、6回2/3を5安打1失点に抑え、今度は正真正銘のプロ初勝利を手にした。

 試合後、原田は「やっとホンマもんにめぐり合えました」と喜びつつも、「今度は大丈夫でしょうね?」とまだ不安げな表情だった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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