新年度が始まり、通勤や通学で電車通いを始めた人もいることだろう。だが、都内の酷い路線では、朝電車が時間通りに来ず、発車時間を示すホーム上の電光掲示板も消えてしまっていることが多い。
JR総武線で都内に通勤する40代男性はこう言う。
「10年以上千葉県から都内に通勤していますが、職場に近づくにつれて車内の混雑が酷くなり、働く前から憂鬱になります。電車が時間通りに着かないこともザラです。ラッシュを避けるため、朝早く出て、6時台の電車に乗る毎日が続いています。おかげで健康的な日々を過ごせていますよ」
一方で、記者が普段乗る都営新宿線のように、ラッシュ時でもギュウギュウというほどの混雑ではなく、遅れもあまりない路線もある。どちらも都内東部から千葉県にかけ、割と近い区間を走る路線だが、その差は大きいようだ。
統計の上ではどうなのだろうか。国土交通省では、首都圏を走る45路線を対象に、1ヶ月あたりの遅延証明書発行日数状況を示したデータを公表している。これは1ヶ月を平日20日と見なし、このうちの何日間遅れたかというもの。この日数を20で割ることで、「遅延率」を計算することができる。
データを遅延日数の多い順に見ると、上位10位のうち、JRの路線が8つもランクインしている。中でも、1位の中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉駅間)は19.1日と、ほぼ毎日遅延証明書が発行されている結果となった。2位は宇都宮線・高崎線(上野~那須塩原・神保原駅間)、東京メトロ千代田線が18.4日で同率に並んだ。大手私鉄では他に小田急線が17.9日と5位に入っている。小田急線と千代田線は直通乗り入れをしており、遅れが連続しているものとみられる。10位から20位の間をみると、11位の東西線(16.4日)、12位の有楽町線(16.0日)、14位の半蔵門線(15.6日)というように、JRに代わる形で東京メトロの各路線が登場するのも特徴だ。
一方、遅延率の低い路線はどうか。都内と郊外を結ぶ主要路線の中では41位の東武東上線(4.8日)、38位の京王線(6.3日)、36位の京急本線(7.1日)、31位京成本線(8.8日)、30位の都営新宿線(8.9日)、29位の都営浅草線(10.4日)などがあげられる。東武東上線をのぞけば、こうした路線はJRに近いところを走り、競合関係という特徴がある。こうした地域にお住まいの人は、毎朝乗る電車をJR以外に変えてみることで、環境が良くなる可能性がある。