本当はアイドルなんてそんなにたくさんの人がなれるもんじゃないんですよ。第三者が選びに選び抜いたのがアイドルですから。誰でも入れるシステムになったように見えるけど、入れるフリをしているだけで本当のアイドルになれるのは以前と変わらず狭き門だと思うんですよね。

 そして、みんなが連休で遊んでるときにスタジオにこもって練習したり、芸人なら家にこもってネタ作ったり、孤独と闘いながらいかに努力できるかっていうのも才能の一つだと思う。それが花開いて、気持ちがいい瞬間なんて一瞬ですからね。本番のアドレナリンの出方が忘れられずに、続けてしまう仕事なんですよ。

 芸能人はみんな個人事業主だっていうのは、よく言われますけど、自分という会社をどう回してくかを真剣に考えて、目標に向かって努力していかないと、ダラダラしていたら普通の世界に比べて、自分のために動いてくれる人は誰もいないんですよね。世の中の人は、誰が食えようが食えなかろうが関係ないですから。

 だから親御さんたちには伝えたい! 芸能界を夢見るのは結構ですし、やってみなきゃ売れないからやったほうがいいと思う。でも覚悟しなきゃいけないのは、カタギの世界じゃないところに娘さんや息子さんを送るんだよってこと。我々がよく言われた「売れなかったら、ホームレスだぞ」って言葉は、真実だといまは思う。

 最近は、子どもたちのなりたい職業にユーチューバーが上位にランクインしているって言われているけど、それだって外野が想像しているより楽して食える仕事じゃないと思いますよ。自分で企画考えてロケやって、編集までしなきゃいけないんですよ。みんな忘れがちですけど、編集って大変なんですよ。テレビ番組も編集しているディレクターは朝までずっとこもって作業していますから。それでテレビってできているわけです。

 まあ、売れたら売れたで悩みはデカくなって、この仕事をしている人は春と秋の番組改編の時期はみんなドキドキしてると思います。春だと1月ごろ、秋だと7月ごろから出演が終わったり、新しい番組が決まったりする。番組ってナマモノで、ディレクターというクリエイターがいて、その人が作りたいものが番組になっていくわけです。それに合うか合わないかだけですから、タレントができることって無いんですよ。

 唯一あるとしたら礼儀正しくきちんと自分の仕事をするとか、人間性みたいなものだけでしょ。誰だって嫌なやつとは仕事したくないわけですから。歌い手だったり、俳優だったり、コメディアンだったり、それぞれ自分の仕事を全うするしかないんですよね。それを真剣にやってるやつしかチャンスは来ない。それを信じてやるしかないんです。

 みなさんが期待しているほど番組改編って裏がないし、タレントがやれることは無いんですよ。

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カンニング竹山

カンニング竹山

カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。単独ライブ 「放送禁止2017」が9月21~24日、東京・品川の天王洲銀河劇場で開催(撮影/写真部・小原雄輝)

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