■リーダー候補はなぜ必要?

 しかし私がなにより気になったのは「リーダー」です。「リーダー」がいなければ「他クラスから持ってくる」ほど必要なのはどうしてでしょうか。そして先生たちが思い描く「リーダー」とは、どんな子なのでしょうか。

 先生たちによると「リーダー」とは、クラスの「核になる子」や「雰囲気をつくる子」などです。クラスにおけるリーダーの重要性は先生によっても意見がちがいます。「リーダーの存在でクラス運営は多少、楽になる」と話す先生から、「クラスの核をどうつくるかがクラス運営で最重要の課題」とまで言う先生もいました。

 そう言えば私の同級生は「あなたがクラスを引っ張らないとダメじゃない」と先生から叱られていましたが、あれは同級生が「リーダー」に指名されていたからなのかもしれません。

 新年度前に「リーダー」を選ぶだけでなく、より踏み込んで「『明るい子』『暗い子』『どっちでもない子』の比率も同じようになるよう話し合う」という先生もいるそうです。

 そう教えてくれたのは教育社会学者・鈴木翔さんでした。私が取材したなかでも「同じようなことは当然、考える」という先生も一人だけいました。

 しかし、ここで一つの疑問が浮かび上がってきました。鈴木翔さんは「仮説ですが」と前置きしたうえで下記のように指摘しています。

「何をもって先生方が『明るい子』『暗い子』『どっちでもない子』を分類しているのかはわかりませんが、もしも前のクラスで発言権があった生徒と発言権がなかった生徒の比率を『あえて』変えないようにしているのだとしたら、構造上、どのクラスになったとしても『スクールカースト』が生じやすくなるのではないか」(2017年8月1日不登校新聞)

■構造的に「いじめ」が生まれる?

「スクールカースト」(別名クラスカースト)について、専門家である鈴木翔さんの意見をもう一つ引用します。

「同級生どうしで、地位・身分差、力の差をみんながなんとなく共有している状態を『スクールカースト』と私は呼んでいます。誰が指名したわけでもなく『上位グループ』『中位グループ』『下位グループ』がクラス内で形成され、みんながそのグループごとに与えられたキャラ、役割を生きていく。たとえば、野球部やギャルグループといった『上位グループ』が教室内で幅を利かせ、一方でおとなしい子たちの『下位グループ』は公然とバカにされたりする雰囲気がある、というようなことです」(2014年3月15日 不登校新聞)

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スクールカーストが持つ問題点とは