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宿題があるのに勉強机に10分と座っていられない子どもにイライラしていませんか。ごほうびのおやつをあげたり、叱ったりして座らせても、次の日はまた元の木阿弥。そんなときは、子どもの隣で1時間、親も一つのことをしてみてください。
学習塾を主宰し、不登校児や学習障害児、非行少年などを積極的に引き受けて、生徒全員の成績をアップさせた経験を持ち、その後もボランティアで育児相談や子どもの学習指導、親や教育関係者らと活発に意見交換をするなど、科学の視点で子育てにかかわる活動を続けている、異色の科学者・篠原信先生が著書『子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法』(朝日新聞出版)の中で明かした、子どもの集中力が自然とアップする方法を、ここで紹介します。
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遊んでばかりだった男の子が、お父さんから次のように言い渡されました。
「中学生になったら、お父さんの隣に座って勉強しなさい」
その子は渋々、夜9時になるとお父さんの隣に座るようになり、1年たたずに、学年でトップになりました。
実は、私自身も中学3年生のときに、父親に同じことを言われました。しかし、それまで勉強机に座ったことなどなかった私は集中できません。机に突っ伏したり椅子の背もたれにのけぞったり、女の子のことを思い浮かべたり、落書きを始めたり。
ふと隣を見ると、父は背筋を伸ばし、静かに本を読んで身じろぎもしません。
最初のうちは「ちぇっ」と思っていましたが、だんだん集中できない自分が格好悪く思えてきて、「どうせ逃げられないのなら仕方ない、宿題やるか」と思うようになりました。そのためか、少しずつ成績が伸びて、少しずつ楽しくなってきました。
夜9時になったら自分から勉強部屋(家族全員、そこが勉強部屋だった)に行き、自主的に学習するようになった私を見て、父は一緒に勉強しなくなりました。
父は、隣の部屋で「男はつらいよ」の映画を見てゲラゲラ笑っていましたが、私は、成績が上がってきたのがおもしろくなり、自分から勉強部屋に向かうようになっていました。