4試合連続ゴールの宇佐美貴史(写真・Getty images)
4試合連続ゴールの宇佐美貴史(写真・Getty images)
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 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表はベルギーのリエージュで23日にマリ、27日にウクライナと親善試合を行う。前者はロシアW杯の“仮想セネガル”、後者は“仮想ポーランド”として位置づけられる重要な2試合だが、吉田麻也、香川真司、清武弘嗣など有力候補に怪我が相次ぎ、アジア最終予選で主力として活躍した井手口陽介や浅野拓磨、小林祐希らが所属クラブで出場機会を得られないなど、メンバー編成が苦しい状況にある。

 そうした中で、クラブでの活躍により招集を強くアピールしている選手たちがいる。メキシコの本田圭佑(パチューカ)、ポルトガルの中島翔哉(ポルティモネンセ)、そしてドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフで4試合連続ゴールの宇佐美貴史などだ。ハリルホジッチ監督が選考の基準にあげるコンディション、攻撃陣に強く求める得点力という条件を満たす彼らがメンバー入りすれば、チームの活性化が期待できることは間違いないだろう。

 しかし、代表で大事なのはコンディションや“個の力”だけではない。特に本大会まで3カ月に迫り、35人の予備登録リストを作る前の最後のテストの機会でもあるだけに、“仮想セネガル”のマリと“仮想ポーランド”のウクライナを相手に個人の評価に終わらせることはできない。ベターな攻撃の組み合わせを見極める必要がある。選ばれれば初招集となる中島はもちろんのこと、昨年10月から外れている本田、前回の招集が昨年6月のシリア戦までさかのぼる宇佐美も、もし招集するならば、当然ながら起用法も想定されているはずだ。

 本田はメキシコリーグのパチューカで後期リーグ11試合を戦い、4得点5アシストを記録。チームのあげた17得点中の53%でゴールかアシストで絡んでいる。まさに攻撃の中心としてタクトを振るっているわけだが、ポジションが[4-1-4-1]の右サイドハーフ、右インサイドハーフ、[4-2-3-1]のトップ下という3ポジションをこなすばかりか、2トップのような役割をこなす時間帯もある。

 見事なマルチロールぶりだが、そのポジションでも柔軟にこなせるのは基本的にパチューカが中盤のポゼッションを重視しており、本田を起点とした攻撃が確立されてきているためでもある。大きな役割は変わらない中で、インサイドハーフが最もボールを触る機会が多く、出し手になりやすい。[4-2-3-1]のトップ下はボランチの二枚がシンプルに捌き、本田がアクセントを付けるか、チャンスがあれば縦に仕掛けてフィニッシュを狙う関係が築かれている。

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