絵のこだわりも凄いのですが「今のシーン、彼の感情はどう思う? 私はこう思うが、君はどうだ」とモニター前でディスカッションを始めるなど、演技の熱量にも妥協がなくて、絵と内面、どちらも完璧になったときにOKが出る感じでした。十回以上のリテイクは珍しくなくて、それが5カ月間続きました。

――東京ドーム約8個分の敷地に6年かけて再現したという長安の街はいかがでしたか

 見渡す限り長安で、現代の建築物が視界に入らないよう設計されています。毎朝車で向かうんですが、本当にその世界が存在していて、入っていくという感覚がありました。6年かけて作っているので、建物にも自然とエイジングがかかっているし、木々も植えたものが育っているので"作り物感"が全くないんです。すごく贅沢な、本当に夢の国でしたね。

 中国の時代劇ということで、場所も時代も今とは違うんですが、違和感を覚えることは全然なかったですね。人間関係も上下関係がしっかりして分かりやすかったですし、作中に食事シーンもあったのですが料理も美味しかったですし、建築物も瓦屋根で、どちらかというと、逆にこの時代の方がなじみ深い印象でしたね。

 映画が完成した後、北京に行ったのが現代中国の初体験で、そちらの方に驚きました。

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中国での撮影で驚いたことは?