いまの現状を誰よりも冷静に、淡々と受け止めているのは実は本人なのかもしれない。

「『Cry&Fight』で一緒にやらせてもらったトラックメーカーのSeihoさんが、こう言っていたんです。メジャーシーンって、灯台みたいなものだと思うって。光がぐるぐる回っていて、いまたまたまここが照らされているだけで、光にいきなり飛び込んで来たんじゃない。その言葉が面白いなと思っていて、いままさにそんな気持ちです。自分がやってきたことに注目していただけていて、三浦大知の存在を知ってもらって、いろんな場所に呼んでもらって、いろんな人に会わせてもらっていることがすごく嬉しいです。でも、チーム三浦大知としてはやっていることが特に何かが変わったわけじゃない。いつもと変わらず、マイペースにやってます。男ばかりで部活みたいに(笑)」

 初めて出演した昨年末の紅白歌合戦も、独特の緊張感あったが、いままで自分たちがやってきたことを凝縮してやらせてもらっただけ。新しいものを準備したわけじゃない。「楽しんでもらえたという声がたくさん聞けたので、それはすごく嬉しかった」と控えめだ。

「もちろんエンターテインメントにはビジネス的な面もあって、それも大事だと思う。例えば、何かで1位になるとか、CDが何百万枚売れたとか。でも昔からそこに1番興味があるわけじゃなくて、自分が最高だと思って出したものを、みんなに最高って言ってもらえたら、1番良い。その逆ではないんですよね」

 毎年、目標を立てるようなことはしない。特に数字の目標を持たないのは「数字を求めたら数字で評価される」し、目の前のことをやっていて気づいたら「あ、こんなところにいたんだ」というぐらいがいいと思うからだ。一方で、ダンスを始めたばかりのころからブレない目標が一つだけある。

「振り返れば8歳か9歳ごろから、オリジナルでいたいとずっと思っていました。ダンスのレッスンで使うようになったマイケル・ジャクソンの『BLACK OR WHITE』のミュージックビデオを見て、衝撃だったんです。そのころから天邪鬼な性格で、みんながやっていることはやりたくなかった。マイケル・ジャクソンは何をやってもマイケル・ジャクソンで、みんなと同じじゃなくていいんだ、唯一無二でいいんだって思って、すごいかっこよく見えました」

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