枠にはまらず、遊びを残す。パフォーマーとして歌とダンスで曲の世界を表現するだけではなく、振り付けやライブの演出も手がける。歌詞だけ書くことも、トラックメーカーと一緒にスタジオ入り、「こんな音が良い」と話しながら曲を作ることもある。
「アイディアが降ってくるわけじゃないから、最後の最後まで雑巾を絞って1滴を出しているみたいな感じ」と笑う。定期的に自分の歌が嫌になったり、ダンスでも今のこの振り付けは最悪って思うこともある。でも別の曲で乗り越えていける、途中のそのしんどさは完成したら喜びに代わると信じて向き合う。そうしているうちに、それが逆に楽しいって思うようになったという。
大事にしているのは「遊び」と「余白」だ。トレーニングも制作もストイックに詰め込みすぎず、リハーサルがある日でも長くて5,6時間。あとは演出を考えたり振りを作ったり、ライブのことを考えたり、インプットの時間にあてるという。
「みんなとあれが面白い、こうしたいねとテーブルに全部の要素を並べて話している時間も大切だし、大好きなんですけど、そこに行き着くまでの根本というか、自分が何をしたいか、どんな気持ちになりたいかという軸の部分をひねり出して考えることが大事な気がするんです。それは、1人でいる時間、余白の時間がないと難しいと思う。ダンスは音を聞いていると、ダンサーは何人ぐらいかなとか、こんな振り付けかなーとざっくりした映像が浮かんでくるので、それを元に作っています。歌詞も昔はノートに言葉を書き留めたりしていたんですが、いまはメロディーから何となく聞こえてくるキーワードとか、そういうものを元に広げていくっていう感じが多くなりましたね。日本語で表現していくのは大好きなんですが、自分に才能があるかというとないと思うんで、そこは別かなと(笑)。自分の歌詞がめちゃくちゃ好き!ってわけじゃないし、ちょっと頑張ってる感じ。まあ、暖かい目で見てもらえたら……」
そう言って、照れ笑いした。