

いつも通り、マイペースに――。デビュー20年にしてついに大ブレイクを果たした三浦大知(30)は、世間が「天才」「神」と持ち上げても何処吹く風で、そう繰り返した。昨年、初めて出演した紅白歌合戦での「無音シンクロダンス」も話題になったが、目指しているものは幼少期からブレない。「人と同じじゃつまらない」とレッスンに打ち込んだ天邪鬼な少年は、いまどんな思いを抱え、どこに向かっているのか。
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彗星のごとく日本の音楽シーンに現れた、というわけでなはい。日本トップレベルと評されるその歌とダンスの才能は、地元沖縄のダンススクールで小学1年生のころには既に注目を集めていた。レッスン中の様子が地元テレビで放送され、9歳で「Folder」のメインボーカルとしてデビューが決まるころには、地元ではよく知られた存在になっていた。「天才」「日本の音楽界を変える」。幼いころからそう言われてきた。
「天邪鬼なタイプで、僕はそんなんじゃないって、ずっとそう思っていましたね。昨日できなかったことがパっとできるようになるタイプじゃないし、まだまだ、まだまだって。でも、どこかでこれを続けていく自信はあって、まだまだっていう気持ちがいまもずっと続いています。天邪鬼なのが、逆に良かったのかもしれないですね」
自分の曲やパフォーマンスが伝わっている、輪が広がっているという感覚が強くなったのは2016年ごろ。その後、『仮面ライターエグゼイド』の主題歌「EXCITE」(17年1月リリース)が初のオリコン週間シングルチャート1位を獲得。単独ライブもチケットが即完売という大ブレイクを果たしたが、決して順風満帆な道のりではなかった。
9歳でデビュー後、中学生になると同時に変声期の喉を守るため活動休止。「これから歌うためには喉を温存することが大事だ」という所属事務所社長の決断を聞いたときも、悲しさや悔しさよりも「愛を感じた」という。