「これから歌うための休みだったので、すごく前向きでしたね。それなら次に歌うときのためにダンスのレッスンを増やそうと考えていました」

 楽観的。自分の性格をそう表現する。

「基本、生きているとうまくいかないことって多いじゃないですか。でも、そのとき自分はどうするかをきっと楽しんでいる。例えば、やってみたいことができないなら、別の方法を試してみる、自分で考えて工夫してみる。いろいろ乗り越えていくことが好きなんじゃないですかね」

 悩みがあるときは、頭の中を「考える」に切り替える。後ろ向きで過去を引きずっている「悩み」のままじゃ、埒が明かない。やり直せないなら、次のことを考える。そうやって数々の壁を乗り越えてきた。このしなやかさは、おそらく三浦大知の最強の武器なのだ。

 2010年ごろ、自分の歌を白紙に戻し、発声方法を変えたときもためらいはなかった。初めは音程が取れなくても、やっていくうちに楽に声が出せるようになり、喉が枯れにくくなった。

「ゼロになるのは、怖くないんです。自分でやってきたことは絶対的に残っているっていう確信があるし、その瞬間に全部失ったとしても、そこからマイナスになるかプラスになるかは自分の振る舞い方次第。ちょっと長い目でみると楽になるのかも」

 どうして折れずにここまで続けてこられたのか。最大の理由は「人に恵まれていたから」だと語る。

「僕は小さいころに自分が好きなことに出会って、ラッキーだったと思うんですけど、ずっと見てくれる方がいて、今度はあんなことしてみよう、こんなことしてみようと一緒に考えて楽しんで、支えてくれる人がいないと、自分の思いだけで続けて来られたわけではなかった。そういう意味では自分以上に自分を信じてくれる人が周りにたくさん居てくれて、恵まれているなと常に感じます」

 その言葉の通り、このブレイクを喜ぶ人は業界内にも多い。デビュー20周年の全国ツアー最終日、日本武道館に駆けつけた、「Folder」元メンバーであり女優・満島ひかりは「大知の7歳からの大ファン代表」と語り、一緒に曲を披露した。そのほかラッパーのKREVAは「夢は叶う」とメッセージを送り、RHYMESTER・宇多丸は「俺にしたら当たり前。正義は勝つ」と祝った。

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