「裁量労働制はいらない!」
「裁量あるって嘘つくんじゃねえ!」
「働いた分の金くらい払え!」
2月25日日曜日の昼過ぎ。新宿の街を、黄色と黒のプラカードで彩られた一団が、音楽に合わせてコールをしながら歩いていく。裁量労働制の拡大に反対するデモだ。主催したのは、労働問題や社会保障などについての活動をしている「AEQUITAS(エキタス)」。この日の参加者は、主催者発表で1,000人に上った。
この日サウンドカーの上からスピーチしたのは、日本共産党・小池晃書記局長、立憲民主党・長妻昭議員、そして裁量労働制の拡大に関わる不適切なデータの使用について、追及を重ねてきた上西充子法政大教授の3名だった。
小池書記局長は、「働いた分だけ金を出す、当たり前のことをやる、そういう政治を、みなさん一緒につくろうじゃないですか。」と聴衆に訴えかけた。不適切なデータ使用については、「単なるミスじゃないと私は思うんです。…厚生労働省がミスをやったっていうだけじゃないんですよ。意識的に、まさに確信犯として、裁量労働制を拡大するためのでっち上げをやったというのが、今回の経過じゃないですか。」と、その問題性を指摘した。さらに裁量労働制を、携帯電話の「定額使い放題」に例えた上で、「働く人はモノじゃないんです。過労死がどんどんどんどん増えてしまう。人間がモノのように捨てられる。こんな世の中にしてはいけないんじゃないでしょうか。」と語り、政府が進める「働き方改革」は、「財界・企業にとっての『働かせ方改革』」だと断じた。
長妻昭議員は、結婚を間近にして、事業外裁量労働制で働き、過労死した女性の話からスピーチを始め、裁量労働制を拡大する動きを何とか撤回させたいと語った。また「首相官邸に産業競争力会議が設けられたが、そこには労働者の代表も入っていない。厚生労働大臣も正規のメンバーではない。経済産業大臣がどんどん発言をして、総理大臣も発言をして、その会議で裁量労働制の拡大が決定をして、閣議決定として、現実を無視して、どーんと下の方に降りてきた。…こういう決め方は、ILOからも、労働者の代表が入るところで決めなくてはならない(と批判されている)。…それを無視したような首相官邸主導、しかも現実を直視しない形で裁量労働制が導入された。」と、今回の意思決定の流れを批判した上で、現実を引き受けた上での改革にする必要性を述べた。