急性心不全のため21日未明に死去した俳優・大杉漣さん(66)。現在放送中のドラマ「バイプレイヤーズ」(テレビ東京系)の撮影後、共演者と食事をとり、戻ったホテルで腹痛を訴えたという。医師によると、心臓病の中には、胸だけでなく、肩や腕、みぞおちの痛み(放散痛)を伴うこともある。狭心症や心筋梗塞の原因とその兆候を解説する。
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狭心症や心筋梗塞は、多くの場合、動脈硬化によって引き起こされます。動脈硬化の原因は生活習慣です。
一般的には肥満、高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病の5大因子といわれてきましたが、近年は歯周病菌が動脈硬化に影響を与えることがわかりました。
「したがって狭心症の予防には、食事を腹八分目、味は薄め、禁煙とともに、しっかりとした歯磨きも欠かせないということになります。がんは予防できませんが、生活習慣に気をつければある程度の心臓病は防げます。予防の重要性は高いといえます」(磯部光章医師)
歯周病を加えた6大因子は一つでもあれば黄信号。予防に努めるとともに、定期的に心電図を取ったり、できれば心臓ドックを受けたりして様子を観察するようにしてください。
実は、このほかにも七つの因子があります。それはストレスや加齢、家族歴などです。とりわけ家族歴、いわゆる遺伝的なものは改善しようがないので、当てはまる人は定期的な検査が不可欠です。
■胸の痛み? それともみぞおち?
狭心症の典型的な症状は、胸の中心、胸郭の裏周辺が詰まるような激しい痛みです。運動時や朝に発生することが多く、2~3分、長くても15分程度で治まります。それ以上続いたら心筋梗塞の疑いがあります。冷や汗、呼吸困難、失神に至ることもあり、治療は一分一秒を争います。
胸痛は他の病気でも起きますが、放散痛は狭心症・心筋梗塞の大きな特徴です。これは胸の痛みを中心として、奥歯・あご・背中・肩・腕・みぞおちなどに痛みが拡散する現象です。別の部位にも痛みを感じたら、即座に病院で診てもらいましょう。