斎藤佑樹、復活なるか (c)朝日新聞社
斎藤佑樹、復活なるか (c)朝日新聞社

 ここ数年は毎シーズンが“勝負の年”となっているものの、結果を残せていない日本ハムの斎藤佑樹。2006年に行われた夏の甲子園では、決勝で田中将大(ヤンキース)とのすさまじい投げ合いを演じるなど、大いに野球界を盛り上げた。“ハンカチ王子”と呼ばれ、国民的人気を誇ったのはつい最近のようにも感じるが、早いもので斎藤も今年の6月で30歳を迎える。

 2011年にプロ入りした斎藤は1年目に6勝(6敗)、2年目に5勝(8敗)を挙げ、順風満帆では決してないものの、プロの世界でのキャリアを着実に歩み始めたかに思えた。しかし、2年目のシーズン終盤に右肩関節唇損傷という大ケガを負い、その影響もあってか3年目以降は、昨シーズンまでの5年間で通算4勝にとどまっている。

 昨年は5月31日に行われたDeNAとの交流戦で先発登板し、6回途中1失点の好投で623日ぶりの白星を手にした。復活への期待が高まったが、最終的にはその1勝のみと、またファンの願いを裏切る形となってしまった。

 2015年に京大からロッテに入団し、昨オフ25歳という若い年齢でプロでの生活に見切りをつけ、球界から早々と去る決断をした田中英祐のような選手がいる一方、斎藤はいつクビになってもおかしくない状況で現役を続けている。しかし、NPBで戦力外、そして引退する選手の平均年齢は毎年30歳前後となっており、斎藤にもついにタイムリミットが来たのかもしれない。

 チーム状況を考えても日本ハムは2016年に日本一となったが、昨シーズンは先発投手陣の多くが不調に陥り、シーズン5位と低迷。オフには球団の顔として入団以来活躍してきた大谷翔平メジャーリーグのエンゼルスへの移籍が決まり、守護神だった増井浩俊もFAオリックスへの移籍となった。チームは確実に再建モードへと舵を切る時期に来ているのは間違いない。

 昨季日本ハムでは2ケタ勝利をマークしたのが有原航平のみで、先発投手陣の駒がそろっていないが、高梨裕稔、上沢直之、加藤貴之らローテーションを担える実力を備えている若手投手がいるのも事実だ。また、中継ぎとしても、ボールにスピードがなく、力で押すタイプではない斎藤のピッチングスタイルを考えると、なかなか使いどころはないのではないだろうか。

 加えて、日本ハムは昨年のドラフトでは球界大注目の清宮幸太郎を獲得し、“人気”という面でも斎藤に負けない人材がチームに在籍している。そんな環境で、もし今年しっかりとした成績が残せないとなると、斎藤にとってはこれまでになく厳しいシチュエーションが待っているのは言うまでもない。

 また、2012年に就任し、その年にプロ2年目だった斎藤を開幕投手に指名した栗山英樹監督は、今年で7年目と長期政権となっているが、成績次第では今シーズンオフに退任の可能性も十分にある。これまで栗山監督は、斎藤の活躍を望む発言を多くするなど、“後ろ盾”となってきたが、その人物がいなくなり、新たな指揮官がチームに来た時には、もう斎藤の居場所はないのかもしれない。

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