■黒田続投なら、どうなる?

 安倍首相が、黒田総裁の「続投」を国会に提案したら、そこにはどんな意図があるのだろう。

「その理由は『安定感』と『継続性』でしょう。黒田さんは財務官僚出身ですので、記者会見や国会答弁に慣れている。金融市場も『黒田続投』を折り込んでいるフシがある。これから憲法改正に本腰を入れたい安倍首相としては、波乱要素はできるだけ取り除いておきたいところでしょう」

 さらに、安倍首相や黒田さんが5年前、自ら設定した「2年で2%」という物価上昇率を達成できておらず、デフレ脱却は「道半ば」(安倍首相)のままだ。「黒田さんを代えれば、目標未達成の責任問題がクローズアップされて、安倍さんにも及びかねない。それを避けようという意図もあると思います」と指摘する。

 続投が決まったとして、金融政策はどうなるのだろう。

「黒田さん続投なら、異次元の金融緩和の継続という方向性に、大きな変化はないでしょう。ただ、日銀は年80兆円をメドに購入を続けていて、400兆円を超える国債を保有しています。ずっと、同じように買い続けるのは難しいですから、いずれ『出口』を探らないといけなくなります。そのとき、黒田さんの本当の手腕が問われることになると思います」

 なかなか理解が難しい金融政策だが、その人物像を知れば見方も変わるのではないだろうか。総裁のキャラから、日本経済の未来を占えるかもしれない。(取材・構成/星政明)