――先生の言葉が胸に響いて、みんなが変わっていったんですね。中学2年生の時に全日本吹奏楽コンクールに出場されていますね。この時、西関東大会に出るのも実は初めてだったんですよね。
横山:はい。1年生の時は県大会にすら行けませんでした。だから、まさかその先へ行けるなんて思いもしませんでした。
――未知の世界ですよね。西関東大会で戸惑ったりはしませんでしたか?
横山:西関東大会の会場に到着した段階で、みんな泣き出すっていう前代未聞の事態が起きました(笑)。まず、西関東大会に来られたことが嬉しかったこと、でも、同時にそんな場所にいることが怖くなって泣き出してしまいました。緊張しすぎて階段から落ちる部員までいて(笑)。「これで本番大丈夫か?」という感じだったのですが、チューニング室に入ったら一気に集中できました。
――先生からは何か声をかけられましたか?
横山:「天狗になるな」って言われました。「西関東に来られたからすごいということはない。上には上がいるから」と言われて冷静になれた気がします。ステージに立つ時には「私たちは団結して1位を取りにいくぞ」っていう気持ちになっていました。
――演奏はバッチリ?
横山:自由曲が終わった瞬間、指揮棒を止めた先生がポロって涙を流されたんです。それを見た時「やった! これはきた! 全国に行けた!」って思いました。終わった後もみんな号泣していて……。
――今もちょっと目に涙が。
横山:思い出すと涙が出ちゃいますね。それくらい、本当に嬉しかったんです。今もその時演奏した自由曲が大好きで、自分たちの演奏をケータイに入れて時々聴いています。
――そうなんですね。そこから全国大会なわけですが、名古屋国際会議場センチュリーホールには、全国から強豪が集まってきます。どんなことを覚えていますか?
横山:音出しの場所で、楽器置き場になっているイベントホールに多くの学校が集まっていて圧倒されました。私たちの練習もじっと見られているし、全員がライバルという空気が、ちょっと怖かったですね。
――そんな中での演奏はどうでしたか?
横山:西関東よりはできなかったのですが、先生が「それが今の実力。自分たちが良い演奏ができたならそれでいい」といってくださって。頑張れたことに胸を張りました。