松坂大輔の起用法は? (c)朝日新聞社
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 2月7日、中日・北谷キャンプ第2クール初日。

 松坂大輔は3度目のブルペン入りを果たすと、キャッチャーを立たせたままの“立ち投げ”で12球。その後、キャッチャーを座らせ、ストレートを中心にカーブを交え、67球の本格投球を披露した。実は、ちょうどこの1年前、ソフトバンクの宮崎キャンプのブルペンで、松坂は239球の投げ込みを行っていた。当時の宮崎と比べると、その4分の1にとどめた「球数」に、今年の松坂大輔の“決意”が込められていた。

「いつもの僕なら、100球は超えています。いい時は、どんどん投げたいタイプなんです。僕の中では投げようと思ったら、いつでも投げられます。ただ無理はしないということ。投げながら、全力で腕を振るときじゃないなと、そういう感じですね」

 松坂大輔というピッチャーは、基本的には“投げたがる”タイプだ。レッドソックス時代も、メジャーの常識ではあり得ない、春季キャンプで100球以上の投げ込みで肩を作りたいという希望を申し出ると、現場はおろか、フロント首脳までも巻き込み「そんなに投げさせてもいいのか」と大騒ぎになったほど。西武のルーキー時代から松坂をよく知る中日編成部・友利結国際渉外担当も、そうした松坂の“志向”は十分に把握している。それを踏まえた上で、今キャンプでの調整法を話し合い、その方針を確認し合ったという。

「自分の立てた計画通りに行こうと、あいつには言ったんです。『今日は調子がいいから、もうちょっと投げよう』というのは、絶対にやめようとね。だから抑えて、抑えて、すごく抑えていると思うよ」

 右肩と右肘に手術歴がある。メジャーから帰国後の2015年に入団したソフトバンクでは、3年間で1軍登板1試合に終わり、1勝も挙げていない。もう全盛期とは違う。己の体としっかりと対話し、その調子を見極め、一つ一つ、調整の階段を、ゆっくりと上っていくことが、復活をかける37歳のベテランには必要とされているのだ。

 今キャンプでは、第1クールの5日間で、ブルペンに入ったのは2度だけ。第2クールも、初日の7日に67球、8日はノースローで、9日に77球。西武での8年間で7度のゴールデングラブ賞を獲得するなど、投手としての守備にも定評はあるが、フィールディング練習でも、距離のある二塁送球は、全力にはほど遠い山なりだ。

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