さらに、順天堂大学が運営する女性スポーツ研究センターでは、月経周期のどの時期にどのようなトレーニングをすれば効率的に筋力の向上が期待できるのか、あるいは指導者が身につけるべきコーチング法についてなど、科学的な側面から女性アスリートを支える研究が行われている。女性アスリート外来はその活動の一環であり、科学的側面と医学的側面がフィードバックし合って、より効果的なサポート態勢を提供できている。
北出医師は現在、この女性アスリート外来と、本来の産婦人科業務を兼務しているが、産婦人科では生殖内分泌と腹腔鏡手術が専門で、執刀医として週に4日は手術も行っている。
「女性ホルモンの関与するところは尽きませんし、その意味でも産婦人科はやるべきことがバラエティーに富んでいて、私自身25年務めていても飽きることはありません。お産や不妊、低侵襲手術やがん治療もあり、研鑽を積めばスポーツドクターとして仕事の幅を広げることも可能です。産婦人科は、幼少期から当年期まで、女性の一生を診られるドラマチックな診療科だといえます。男女を問わず、ぜひこの楽しい専門領域を目指してほしいですね」
(文/志賀佳織)
※『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から抜粋