求心力がそれなりの強さで働いているときには、不倫の問題は起こりにくいのです。理由や事情は分かりませんし、誰が悪いということもありませんが、豊原さんと小泉さんが交際することになった背景には豊原夫妻の求心力が弱まったことがあるはずです。そのことを横において2人を別れさせても、それで豊原夫妻の求心力が高まるとは考えられず、結局第2、第3の小泉さんが出現すればまた同じことになってしまいます。不倫がよく繰り返されるのには、そういう背景もあります。繰り返さないようにするためには、夫婦の求心力を強めることが不可欠なのです。

 結局のところ、豊原さんに妻とやっていく気持ちがない、ということであれば、現実的には2人がやっていくのは困難です。ただ、私のところにご相談に見える多くのケースの場合、一緒にやっていく気持ちがあるかないかは、はっきりは分かりません。それは、仮に「自分は妻とやっていく気持ちはない」と明言されている場合であっても、さらには、本人が本当にそう思っている場合でもです。そこが人間という存在の一筋縄でいかないところです。

 人は、相手に対して怒りがあることと、嫌いだということを混同しやすいのです。つまり、妻に対して怒りがあるというのが現実なのに、妻のことが嫌いになった(または愛情が薄れた)と感じてしまうことが多いのです。そして、それを前提に「一緒にやっていく気持ちはない」と発展してしまっている可能性があるのです。愛情や一緒にやっていく気持ちは、カップルを成り立たせるもっとも基本的な要素なので、これがないのであればいかんともしがたいところがありますが、そうではなくて「怒りがある」ということなら適切に対応すれば解決可能なことです。

 では、怒りに対処できれば常に大丈夫かというとそんなことはなく、本人を含めてだれにもわからない分水嶺があるように思います。その分水嶺を越える前に、怒りに適切に対応してもらえれば、またやっていこうという気持ちに戻る(求心力が復活する)ことが多いのですが、分水嶺を越えてしまうともう後戻りはできなくなります。

暮らしとモノ班 for promotion
携帯トイレと簡易トイレの違いってわかる?3タイプの使い分けと購入カタログ
次のページ
浮気した夫が抱えていた不満