大会前は北朝鮮の話題が先行している平昌五輪(写真・Getty images)
大会前は北朝鮮の話題が先行している平昌五輪(写真・Getty images)

 2月9日からいよいよ開幕する平昌冬季五輪。韓国にとっては1988年ソウル五輪以来30年ぶりのオリンピックで、しかも史上初の冬季五輪だ。

 国際スポーツ大会開催に強い意欲を示し、ワールドカップに世界陸上、F1などのメガスポーツ・イベントを開催してきた韓国からすれば、実に意義深いスポーツイベントになってもおかしくはないはずだが、どういうわけか平昌五輪だけはなかなか盛り上がらない。

 世論調査機関のギャラップ・コリアが2017年2月に行った調査では「関心がある」という回答が48%と半数を下回り、米経済誌フォーブスが昨年末に掲載した記事によるとチケットの売り上げは目標だった110万枚のうち、1/3以下となる33万枚しか売れていなかった。

 ところが、最近は状況が一変。1月9日の南北閣僚級会談で北朝鮮の五輪参加が決まって以降、韓国では「平昌」の二文字を見ない日はない。北朝鮮からやって来る芸術団や美女応援団のことはもちろん、1月20日に正式決定した女子アイスホッケー「南北合同チーム」の関連ニュースが毎日のように報じられているのだ。

 それだけ人々の関心が江原道の山間にある小さな街に注がれている証拠だろう。それまで平昌五輪をめぐる最大の話題は、「人々が関心を持たないこと」だった。しかし今は違う。平昌五輪に関する記事にはコメントがたくさん付くようになり、日常生活で話題に上る回数も増えた。ようやく「オリンピック・モード」のスイッチが入った印象だ。

「もっとも、肝心のオリンピックの価値は埋もれてしまっている」と自嘲気味に嘆くのは、『中央日報』のソン・ジフン記者だ。同紙スポーツ部の記者として先月から平昌入りしている彼は、ため息交じりでこう語る。

「良くも悪くも人々の関心が高まったのは事実ですが、関心が注がれているのはあくまでも南北合同チームや北朝鮮で、オリンピックそのものではありません。スポーツイベントとしてのオリンピックの価値が、政治的イシューに埋もれている状況なのです」

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