現に、不祥事を起こした教授たちの中には、部下に責任をなすりつけたり、教室員の指導を放り出して副業の講演ばかりやっていた人もいました。明らかに「教授に相応しくない」人たちですが、教授会は、彼らを「能力、人格ともに教授に相応しい人物」として選出したのです。現行の教授会という仕組みが、機能不全に陥っていることを示唆します。

 誤解を怖れずに言えば、医学部の教授会は、腐敗しやすい構造を有しています。「学問の自由」を守るため、外部の圧力から守られているからです。

 15年4月から、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律が施行されました。教授会に一部の人事権は残るものの、権限は大幅に制限されました。具体的な運用については、現在、試行錯誤が続いています。

 小川誠司・京大教授(腫瘍生物学)は「教授に必要なのは特段に優れた臨床能力でも研究能力でもない。若い人材にチャンスを与えて、その能力を育み、もって我が国の将来を展望する『特別な能力』だ」と言います。

 教授に相応しい人こそ、教授に選ばれるようにしなければなりません。その第一歩として、誰が、どのような基準で教授を選考したかを明確にし、その人物は一定の責任を負うようなチェック機構を導入してはどうでしょう。その次は、専門家の相互チェックが可能になるようなシステムを整備することが必要です。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋

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