でも、不倫なんて、いまから100件スクープされたとしても、不倫が良いのか悪いのかというのは個人の価値観の問題だから、永遠に結論なんか出ないんですよね。刑事罰があるような犯罪じゃないんだから、個人が決めたことだけが正解なのよ。

 結局、不倫報道って何にも誰にもプラスにならないっていうのが、今回の結論だと思うんです。人によっては「文春が悪い」「廃刊にしろ」って文春叩きしてる人もいますけど、僕の考えはちょっと違う。文春を擁護するつもりは全くないんだけど、1カ所だけを集中して叩くのって、いかにもネットの悪口っぽいなと感じているんですよ。

 不倫報道ならほかの雑誌もやったぜ? そう言ったら週刊誌が悪い、紙媒体が悪いってなってくけど、そうじゃないってことなんですよ。もちろん、そんなしょうもないことを記事にして、金儲けをしようとしたのがいけないと思いますよ。興味がある人がちょっとでもいれば、うちはそれを書くんだという"ジャーナリズム精神"からだとしても、種をまいたんだから。

 1番悪いのは、テレビもラジオもみんなそこに乗っちゃったってことなんですよね。特にテレビね。週刊文春という信頼のある雑誌だからこそ取り上げるわけだけど、ニュースをパクって火を付けて、油を注いで大騒ぎにしちゃったのはテレビというメディアだろうと思うんですよね。不倫報道で話題になっても「雑誌はそれほど売れない」って新谷さんも言っていたけど、記事を読んでもいないし、その雑誌を買ってもいないのに、テレビで引用されるものを見て「ああでもない、こうでもない」って騒ぎ立てたのは我々視聴者であって、世間じゃないか。

 結果、みんな踊らされちゃったんですよ。

 おのおのの立場があって、紙媒体は部数を上げたい、テレビは数字(視聴率)を取りたい、見てる我々も良い悪いと文句が言いたい。その思惑が何を生んだかというと、一つを袋叩きにすることになっちゃったわけです。都民ファーストの会が急速に支持を失っていったような選挙のときの「風」とも似ていて、それは大昔からあることなんだけど、いまはネットでみんなが自分の意見も文句も言えるようになったし、余計に渦が大きくなっちゃっていますよね。動かされやすくなってる。

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