
1月19日、音楽家の小室哲哉が引退を発表した。『週刊文春』で報じられた不倫疑惑に対する釈明会見の席でのことだ。突然の引退宣言は世間に衝撃を与えた。
【写真】KEIKOの肉声も公開した約1年前の『徹子の部屋』で、ダブルピースする小室
今回の騒動で印象的だったのは、小室に対する批判よりも同情の声の方がはるかに大きかったことだ。それどころか、このスキャンダルを報じた『週刊文春』の方を非難する意見も数多く見受けられた。
ここ数年、週刊誌が報じる有名人の不倫疑惑が世間を騒がせている。中でも、スキャンダル報道の急先鋒である『週刊文春』は、スクープを連発して話題となり、その報道は「文春砲」と呼ばれてもてはやされていた。
ところが今回は、そんな『週刊文春』が世間からの猛批判を浴びている。不倫疑惑をかけられた有名人に対して、擁護する人がいるのは珍しいことではないが、その意見がこれほど高まっていることは今までなかった。なぜこのような事態が起こったのだろうか。
最大の理由は、小室が会見の席で率直に自らが抱えている苦悩を告白したからだろう。彼は脳の機能障害を患っている妻のKEIKOの看護に疲れていて、自身も突発性難聴などの病気で苦しんでいることを明かした。また、世間でも音楽家としての小室の才能を高く評価している人が多いため、彼の引退を惜しむ声が相次いでいるのだろう。
小室は、90年代の中盤から後半にかけてヒット曲を連発して一時代を築いた稀代の音楽プロデューサーである。当時の人気ぶりはすさまじいもので、ヒットチャートの上位を彼の手がける楽曲が占めていた。CDが最も売れていた時代に、その市場を牽引していたのが小室だった。trf、globe、篠原涼子、華原朋美、安室奈美恵など、小室のプロデュースするアーティストは「小室ファミリー」と呼ばれていた。
筆者は小室の全盛期に中高生だったため、当時のすさまじいほどの人気ぶりを肌で感じていた。男女問わず多くの同級生たちがこぞって小室プロデュースのCDを買い求め、カラオケで歌って盛り上がっていた。