企画展「Fの時代」でのトークショーで、代表作のC62写真を前に解説する広田尚敬さん=東京・品川のニコンミュージアムで(撮影/福井洋平)
企画展「Fの時代」でのトークショーで、代表作のC62写真を前に解説する広田尚敬さん=東京・品川のニコンミュージアムで(撮影/福井洋平)
「Fの時代」は3月31日まで開催。広田さんが国鉄の名車100を選定したAERAムック『国鉄の時代 鉄魂』は現在朝日新聞出版から発売中(撮影/福井洋平)
「Fの時代」は3月31日まで開催。広田さんが国鉄の名車100を選定したAERAムック『国鉄の時代 鉄魂』は現在朝日新聞出版から発売中(撮影/福井洋平)
トークショーで笑顔の広田さん(撮影/福井洋平)
トークショーで笑顔の広田さん(撮影/福井洋平)

 撮影歴は70年近く。鉄道写真界の草分け的存在にして今も現役を続ける「鉄道写真の神様」こと広田尚敬さん(82)の企画展「Fの時代」が、東京・品川のニコンミュージアムで開かれている。

【写真】トークショーで笑顔で話す広田さん

 ニコン初の一眼レフカメラ「ニコンF」により主に1960年代に撮影されたモノクロ写真60点以上を掲示。雪の函館線を驀進するC62を正面からとらえた広田さんの代名詞的作品も展示されている。また、広田さんの愛機のほか、この展示会のために広田さんが新たに撮影した作品、自作の解説や鉄道写真への思いを語ったムービーも上映されている。1月13日には同ミュージアムで鉄道写真家の上島幸隆さんを迎え、トークライブも開かれた。

 1935年東京都生まれ、1歳の時から「都電を見ると泣き止んだ」という筋金入りの鉄道ファンの広田さん。中学3年の時から鉄道写真の世界に飛び込み、親戚から譲り受けたニコンFなどで作品を撮りため1968年に初の個展「蒸気機関車たち」を東京・富士フォトサロンで開催。作品を見て開催を即決したという当時の館長(大場栄一氏)は「富士フォトサロン始まって以来の盛況」と喜んでくれたという。

 その作風は「ヒューマニティーに富む」と称される。鉄道の主役である車両だけでなく、運転士や駅員、切符売り場の職員、乗客など鉄道にまつわる「人」を撮ってきた。

「鉄道は人がいなくては成り立たない。人が写っていなくても、どこかそこに人の雰囲気が出るように撮影してきました」(広田さん)

著者プロフィールを見る
福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

福井洋平の記事一覧はこちら
次のページ