ホテルには、依頼者からのプレゼントとして、高価なイヤリングが置いてありました。私の不満が出ないようにしていると感じられ、懐柔されているようで正直気持ちが悪かったです。6千ドルはすべてが終わった後に、小切手で送られてきました。
私は今までは「自分は倫理的にとても悪いことをしてしまった……」という罪悪感がありました。けれども、2007年から代理出産について研究する柳原良江さんの著書を読んだりして、自分の経験は、女性に対する搾取だったのではと考えるようになりました。
ドナーからの提供を受けて生まれる子どもがいて、その子たちが自分の出生の背景を知ったときの心のケアなど、課題もあります。
ドナーの人たちの中には、声をあげたくてもあげられない人もいるでしょう。出産を望む依頼者側だけではなく、なぜドナーになったのか、ドナー側の立場や状況にも目を向けてもらいたいと、インタビューを受けることを決心しました。
(構成/編集部・大川恵実)
※AERA 2023年2月13日号