脳卒中は冬の室内と屋外、風呂場と脱衣室など急激な気温差で血圧が上昇すると発症リスクが高まる(※写真はイメージ)
脳卒中は冬の室内と屋外、風呂場と脱衣室など急激な気温差で血圧が上昇すると発症リスクが高まる(※写真はイメージ)

 年間に約11万人が死亡する脳卒中はがん、心臓病、肺炎に次いで日本人の死亡原因の第4位です。発症すると約1割が死亡し、命が助かっても約6割は要介護状態になってしまう恐ろしい病気。週刊朝日ムック「脳卒中と心臓病のいい病院」から、原因や症状、後遺症を解説します。

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 脳卒中とは脳の血管(動脈)に何らかの障害が起こる病気で、医学的には脳血管障害と呼ばれています。厚生労働省の「人口動態統計」によると15年の脳卒中の死亡者数は約11万2千人で、がん、心臓病、肺炎に次いで日本人の死因の第4位となっています。脳卒中を発症すると約1割が死に至り、命が助かっても6割が要介護状態になります。

 脳卒中を大別すると、脳の血管が詰まる「脳梗塞(こうそく)」と、脳の血管が破れる「脳出血」、脳の血管にできた瘤(こぶ)が破裂する「くも膜下出血」になります。脳の血管が詰まるとその先に血液が流れなくなり脳細胞が壊死(えし)してしまいます。脳の血管が破れて出血すると脳内に血液が広がり、脳が腫れて致命的になります。どちらも一刻も早い治療が必要です。脳卒中のなかでも死者数が多いのは脳梗塞で全体の約6割を占めています。次いで、脳出血が約3割を占めます。

 脳卒中のなかでもっとも多いのが脳梗塞です。食生活の欧米化によって糖尿病や脂質異常症の患者が増え、血管がダメージを受けたり詰まりやすくなったりするためと考えられます。また心房細動という不整脈をもつ高齢者が増えていることも影響しています。心房細動で心臓に血栓(血の塊)ができ、それが脳に流れて血管を詰まらせることがあります。こうした病気がある場合は適切な治療が必要です。

 1960年代まで多かった脳出血は主に高血圧が原因で発症しますが、高血圧の治療薬が増え、食事の減塩が普及した結果、患者数も激減しています。ただ、冬の室内と屋外、風呂場と脱衣室など急激な気温差で血圧が上昇すると発症リスクが高まります。

 くも膜下出血もおもに高血圧が原因で脳の血管の分岐部分に瘤ができ、そこに高い圧がかかって破裂する場合が多いです。

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脳卒中の症状は?