■合格率は10年でどう変わったか
この10年でどのように変化したのか。2007年と17年の合格率を比較し、各大学の現況をみていく。
17年は9618人が受験し、8533人が合格した。例年、合格率は90%前後で、17年の平均合格率は88.7%。最難関の東大でさえ88.9%で、新卒5人、既卒9人が不合格になっている。
自治医科大は出願者が全員合格して100%。慶応義塾大は95.6%、東京慈恵会医科大も92.9%と高い。それぞれ、10年前の07年も国公立を含めた平均合格率を大きく超えており、例年、高い合格率を誇る。
自治医科大は全寮制。留年すると、卒業後に地域医療に従事する期間が長くなることなどから、学生は寮の自習室や自室で熱心に自主的に勉強する傾向がある。教員による国試対策もおこなっている。
学生が主体的に学ぶ校風の慶應義塾大、東京慈恵会医科大は国試対策をしていないが、ほとんどの私立大では実施している。一方、国立大は対策をしていないところが多い。
■兵庫医科大のきめ細かな取り組み
兵庫医科大の17年の合格率は89.3%と、入学時の偏差値と比べると高い。同大学は、07年には81.6%だったが、ここ数年の合格率は上昇傾向にある。鈴木敬一郎副学長は、その秘訣はきめ細かな取り組みにあると語る。
「本学の国試対策の基本は、学生一人ひとりのニーズに合わせるということです。クラスは習熟度別に3クラスに分けています。成績不振の学生には、勉強のやり方などを丁寧にアドバイスし、個別指導をおこなうほか、6年の7月と12月に予備校の講師による1週間の合宿をおこないます。6年生になると、自習室を24時間使えます」
同大は、大学教員による臓器別解説講義、個別指導、ビデオ学習もおこなっている。卒業試験も国試と同じような問題を出題し、高い合格率に結びついているという。
かつては大学の卒業試験は独自のものがほとんどだったが、国試を意識した卒業試験は増加傾向にあるそうだ。