12月5日に東京地検特捜部が発表したスパコン補助金詐欺事件が大きな波紋を広げている。
「もり、かけ、スパだ!」
「もりそばとかけそばだけだと思っていたらスパゲティまで出てきた」
立憲民主党の辻元清美国会対策委員長がウケを狙って発した言葉だ。
うまいなと思ったが、もり・かけ疑惑ほどの大きな問題になるのかどうか。
もちろん、まだ事実関係はほとんどわかっていないので、今の段階でははっきりしたことは何も言えない。
ただ、いくつかの意味で、社会の大きな関心を呼ぶ案件になることは確実だ。
事実関係のポイントをおさらいしておこう。
経済産業省が所管する国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から助成金を不正に受け取った容疑で、東京地検特捜部が12月5日にスーパーコンピューターの開発会社「PEZY Computing」(東京都千代田区)の社長、斉藤元章容疑者(49)と同社元取締役、鈴木大介容疑者(47)を詐欺容疑で逮捕した。
その手口は、2013年度にNEDOが技術革新に取り組むベンチャー企業を支援するために設けた助成事業で、スーパーコンピューター開発のための経費を水増しした虚偽の実績報告書を出して、約4億3100万円をだまし取ったというものだ。
国から億円単位で補助金をもらうなどということは普通の人は経験したことがないので、どういうことだったのかということがわかりにくいかもしれない。理解を深めるために、少し解説してみたい。
多くの補助金の制度では、実際にかかった経費全額を国が払うということはない。少しは自分でもリスクを取れということと、リスクゼロだといい加減な申請が増えるのでそれを防ぐという意味もある。
そこで、経費の一定割合を補助金として国が出す仕組みにする。経費の3分の2とか2分の1など、制度によってその割合は異なる。
また、予算の制約があるから、その金額の絶対額の上限も定められる。
今回問題となったNEDOの補助金は、経費の3分の2を補助するスキームで、かつ、上限は5億円だった。