大きな目玉に、お人形さんのような白い肌、舞台を縦横無尽に動き回り、「ヒットエンドラ~ン」が合言葉のお笑い芸人、鳥居みゆきさん。その独特な喋り口調と、捉えどころのない世界観、そして何より吸い込まれるような眼力によって、一度見た者は彼女の事をはっきりと記憶してきたはずだ。そんな鳥居みゆきさんはというと、近年では芸人の枠にとどまらず、作家、バンド、そして役者と活動の幅を広げ、またインスタグラムで素顔を露わにしたかと思うと、映画PRのためにタトゥーペイントを入れた全身後姿をお披露目するなど世間に何かと注目されてきた。
そして今回、なんと絵本作家としてデビューしたのだ。タイトルは、『やねの上の乳歯ちゃん』。
「買ってくれたんですか~!ありがとうございます。でもこれ実は、本を開く前に絵本の帯に仕掛けがあるんですよ。あれっ、帯がない。取っちゃったんですか!実はここでも楽しめるようにしてあるんですよ」
鳥居さんの第一声は、本を購入した記者への御礼であったが、本を開く際に帯が引っかかるため、記者はそれを事前に外してしまっているというタイミングの悪さ。
「取っちゃ駄目ですよ(笑)。でも、確かに帯って邪魔なんですよね、だから、少しでも楽しませようと思って、帯にも遊びを入れてみたんですよ、それに表紙の絵も工夫してて、見て見て可愛くないですか~」
会って早々にテンションが高く、それでいて気さくに話してくれる鳥居さん。もう、鳥居ワールドに引き込まれ始めていた。
さて、そんな鳥居ワールドが味わえる『やねの上の乳歯ちゃん』。絵本を出すきっかけとなったのは、今から3、4年くらい前のことである。鳥居さんが芸人としてブレークしたのちに、歯の専門誌を発行する団体からある依頼がきた。
「芸人として売れる前に、歯医者さんで歯科助手として働いていたんですが、その時の経験を活かして、『専門誌のなかで何か自由に書いてくれない?』って頼まれたんですよ。それで、自由に書いていいよって言われたから、自由でいいなら、やってみようかなって思って書いたのが、この絵本の物語なんです」