試行錯誤して描いた絵は、1ページにつき2日間の時間を要するほどの力の入れようだった。その甲斐あってか、主人公の乳歯のほかにも多くのキャラクターがあり、絵を見るだけでも充分に楽しめる内容だ。また、絵本の中には、帯の遊びのほかにも、迷路があったり、芸人をモデルにした登場人物が出てきたり、鳥居さんならではのブラックジョークが入ったりと、子供から大人までもが楽しめる作りになっている。
『やねの上の乳歯ちゃん』が出版され、11年連れ添っている旦那さまも、さぞ喜んだのでは?と尋ねたところ、意外な答えが返ってきた。
「いや、旦那は知らないと思いますよ(笑)。だって言ってないもん」
言ってない……。
「お互い、干渉しないんですよ。それが、一番、楽でいいから。それでうちは成り立つんです。私、旦那に『あのね実は、わたし絵本描いたんだ。すごいでしょ、見て見て』なんていう感じの女の子っぽい人間じゃないんですよ。かなり、サバサバしてるかな。だから旦那も多分、この記事で、本のこと知るんじゃないですか(笑)」
取材での雰囲気とは違い、意外にも家庭ではサバサバしているという鳥居さん。実は11年前にルームシェアしていた男性と、交際期間なく結婚。
自らルームシェア婚と公言しているほど、プライベートも独特な生き方をしている。
「子供のころも変なことするのが好きで、迷路の本に線を書いたり、ウォーリーを探せのウォーリーに丸したり、もう誰もこの本、読めないじゃん、て感じの子でした(笑)」
今年の5月には地元の埼玉県行田市の観光大使にも任命されている。取材時に名刺を渡すと、
「あっ、私もあるんですよ」
と差し出された名刺には、しっかりと行田市観光大使の肩書きが記されていた。今まで芸人さんの取材をしてきたが、名刺を渡されるのはなかなか珍しい経験だ。
「今、いろんなことが順調にいっていて有難いです」
と飛び出さんばかりの大きな目玉を広げて話す鳥居さん。しかし、そんな順風満帆なタレント人生を歩む鳥居さんにも悩みがあるという。