民間企業で働きながら、仕事と子育ての両立に悩んだ経験を持つ上田理恵子さん。働く女性たちから、切実な声が寄せられている (写真は本人提供)
民間企業で働きながら、仕事と子育ての両立に悩んだ経験を持つ上田理恵子さん。働く女性たちから、切実な声が寄せられている (写真は本人提供)
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 来年度の4月入園に向けて、保活が本番を迎えています。入園に向けての募集要項が、9月初旬から11月上旬にかけて公表され、まさに申し込みを済ませた家庭も多いはず。審査結果を待つ人も、これから保活を控える人も知っておいてほしい保活の基本を、全国で保活コンシェルジュを展開するマザーネット代表の上田理恵子さんに解説してもらいました。

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「会社には4月に復職と言っているけれど、保育園に入れるかどうかわからず、毎日不安でしょうがない」(30代女性、子ども6カ月)

 子どもを産んで育児休業から復帰しようとする母親たちから、毎年、こんな不安や悩みを聞きます。しかし、今年は少し違いました。怒りの声が寄せられたのです。

「来年度から育休が長いことが加点になるなんて、子どもが小さいうちは働くなということでしょうか。会社では女性の活躍を推進していて、私も出来るだけ早く復職したいと思っていたのに、腹が立ちます」(30代女性、子ども9カ月)

 この女性のほかにも、来年度の募集要項を見て驚いた方、憤りを感じた方はいらっしゃるのではないでしょうか。多くの自治体では、入園希望者を公平に審査するため、「指数」が導入されていますが、それが変更されることもあるからです。

 たとえば東京都目黒区では、小規模認可保育園の卒園児を優先するとことになりました。募集要項には、同点の場合の優先順位に「年齢上限のある区が利用調整する施設等を利用している卒園児」が新設されていました。

 住民から反発を受けた目黒区は10月19日、認可園と認証園を同列に扱うという従来通りの対応に戻すことを決めています。周知期間が短かったことなどが理由だそうです。

 また、東京都杉並区では、「育児休業制度等」の加点が新設されました。育休制度を利用した方は、2019年4月以降の1・2・3歳児クラスの入所申込みから加点となります。そして、「認可外保育等」の加点の廃止が決まりました。経過措置として、2018年3月31日までに認可外保育施設等への受託を開始した人は、従前通り加点の対象となります。

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