先制のタイムリーツーベースを放つソフトバンク・内川 (c)朝日新聞社
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 ドームから屋外へ。そして、DH制がない。

 敵地・横浜に場所を移しての日本シリーズ第3戦。ソフトバンクには、この“不慣れな2要素”が戦いに影響を及ぼす可能性があった。レギュラーシーズンでは交流戦での3試合しか守備についておらず、DHが本職のアルフレド・デスパイネに、冷たい秋風が吹くナイターでのビジター球場で守備についてもらわないといけない。

 DH制というのは「野手9人」の戦いだ。投手が打順に入るセ・リーグの本拠地での戦いは「野手8人」になる。不慣れな助っ人が守り、普段はバットを持たない投手が打席に入らないといけない。投手の代え時、投手の打順での代打など、普段とは違った状況での判断が強いられるのは監督やコーチだけではない。ベンチスタートの選手たちの心構えにも影響を及ぼすのだ。

 普段とは違う――。地の利は間違いなくDeNAにある。工藤公康監督も「交流戦でも感じたんだけど、ここの応援はすごい。それが日本シリーズだと、1・5倍とか2倍に膨らむ」と話す。ソフトバンクのファンたちも敵地で必死に声を張り上げるが、スタンドの9割方はDeNAファン。チームカラーのブルーでほぼ埋め尽くされている、完全アウェーとも言える状況下での戦い。しかし、初回からいきなり、ソフトバンクがいつもの“らしさ”を爆発させた。

 1回、先頭の柳田悠岐がDeNA先発ジョー・ウィーランドが投じた3球目の148キロ直球をライト前へ運んだ。これでシリーズ3試合連続、初回の第1打席にヒット。福岡での2戦では、いずれも先制のホームを踏んでいる。

 2番今宮健太がバントを決めて、二塁に送る。これが福岡での定番だった。DeNAバッテリーはまず、相手の出方をうかがう137キロのボールを外角へ外し気味に投じた。この中途半端なスピードを見越していたかのように、柳田がスタートを切り、楽々と二盗に成功。続く2球目で今宮が送りバントを決めて1死三塁。本拠地での過去2戦よりも、さらに積極的に攻めたのだ。

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