文部科学省は2016年度のいじめ認知件数が前年から約10万件増え、32万件だったと発表した。不登校新聞の編集長・石井志昂さんは件数の増加よりも、注目すべき点があると指摘する。
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10月26日、いじめなどに関する調査結果の発表がありました(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。
この調査で注目されたポイントは2点です。
(1)いじめの認知件数が急増し、初めて30万件を越えた
(2)発生率に地域格差があり、その差は最大19.4倍だった
調査によると、特別支援学校を含む小中学校・高校で起きたいじめは32万3808件、前年度よりも約10万件、増加しました。
背景には、いじめにつながるおそれがある「けんか」や「ふざけあい」なども報告対象になったこと、「積極的な認知」を文科省が呼びかけていることなどが挙げられます。
急増自体は好ましいことではないのですが、「見て見ぬふりよりはいい」という意味で評価できる結果でもあります。
一方の地域格差の結果も評価できる面があります。
1000人あたりのいじめ件数を県別で比較すると、もっとも多かったのが京都府で96.8件、もっとも少なかった香川県は5.0件。その差は19.4倍ありました。しかしこれも3年前の調査では、最大83倍の差があったので、地域格差は縮まりつつあります。
■いじめから避難 0.3%のみ
今回の調査において、私がもっとも注目したのは、ほかにあります。
それは、いじめによって「緊急避難として欠席」した人数です。
いじめ32万件中、「緊急避難」として学校を休めた人は全体の0.3%(832人)でした。
裏を返せば、何らかのかたちでいじめが発見された後も、99.7%の人は学校へ通い続けたということです。ほとんどのいじめが「学校から避難せずとも解消された」ということなのでしょうか。調査結果によれば、いじめは起きたものの報告段階では「解消している」と学校が報告した件数は全体の9割以上を占めました(いじめ解消件数 29万3348件)。
■いじめに耐えて投稿する現実
私はこれまで、いじめや不登校について400人以上取材をしてきましたが、「いじめは起きたけれども9割以上は解消しました」という学校の報告とはまったく逆の結果を、聞いてきました。以下、先生にいじめを相談した経験者の声です。