なお、当初は夫婦同室で入居したけれど、どちらかの要介護度が重くなって別の部屋に移らなければならなくなったときの費用負担は施設によって異なるので、事前に確認しておきたい。
Q:夫婦の介護度が入居後に変わったら?
A:別室に移らなければならないことも
ケアハウスや一部の有料老人ホームなど、「自立」を入居の条件としている施設では、入居した後にどちらかが介護が必要になると、同室で生活を続けるのが難しくなることがある。
一方、介護サービスを受けられる「介護型」あるいは「自立・介護混合型」の施設では、夫婦どちらかの要介護度が高くなっても住み続けることができる。ただし介護サービスの提供の面から夫婦で介護度があまりに違ってくると、同じ部屋で暮らすことができなくなる可能性もある。たとえ同室で一緒に過ごせる場合でも、病気の相手を気遣い、頻繁に介護スタッフが出入りするなどして、元気な方まで疲弊してしまうケースも少なくない。個室が確保できる間取りを選んでおくといいだろう。
入居後の要介護度の重症化は、遅かれ早かれ直面する問題なので、施設側にどのような対応をしてもらえるのかを確認するだけでなく、自分たちはどうしたいのか、夫婦で話し合っておくことが大切だ。
Q:一方が亡くなったら退去しないといけない?
A:一人になってもそのまま暮らし続けることができる
高齢者向け住宅の夫婦入居でどちらかが先に亡くなるのはごく当たり前のこと。一人になっても退去させられることはなく、夫婦で暮らしていた居室をそのまま利用できることが多い。ただし施設によっては一人部屋への移動を勧められることも。部屋が広いぶん家賃が高いので、入居者自身が希望して移るケースもある。配偶者が亡くなったときはどうなるのか、施設側に確認しておくと安心だ。
監修/米沢なな子(高齢者住宅情報センター 大阪センター長)
(文/熊谷わこ)
※週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018 プロに教わるやすらぎの選びかた」から