「ネイティブスピーカーの先生が中心ですが、日本語が上手な方もいれば、ほとんど話せない方もいます。文法や日常会話を習っています」

 話題となった映画祭でのスピーチは、こうしたレッスンを経て生まれたものだ。

「英語は母語ではないので、自分のイメージした通りに伝わるかどうか難しい。だから、まず原文を日本語で考え、先生といっしょに英文にしました」

 マカオで上映された映画「土竜の唄 香港狂騒曲」は漫画が原作で、内容そのものがお祭り騒ぎ。映画の雰囲気に合わせてスピーチにも少し砕けた表現や、ジョークを交えた。一方、ベルリン国際映画祭は世界三大映画祭のひとつ。フォーマルな表現を意識したという。

「海外の俳優さんのスピーチを、何度もリピートして聞きました。ブラッド・ピットさんとか。映画のセリフとは表現が違っていて、勉強になりました」

「ゆくゆくはハリウッド映画や英国の舞台に挑戦するつもりですか?」と聞くと、少し考えてこう答えた。

「それがゴールではないけれど、母語以外の言葉で演じることも、表現への挑戦だと思っています」

 10月28日には主演映画、「先生! 、、、好きになってもいいですか?」が公開される。「この映画で、また国際映画祭のスピーチが必要になるかもしれませんね」。そう話すと、「そうなったらうれしいですね」とくしゃりと表情を崩し、笑ってくれた。(文・神 素子)

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