日本シリーズ進出を決めて、胴上げされるソフトバンクの工藤監督(c)朝日新聞社
日本シリーズ進出を決めて、胴上げされるソフトバンクの工藤監督(c)朝日新聞社
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 2連敗の後、3連勝。パ・リーグの優勝球団・ソフトバンクが鮮やかな逆襲劇でクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ(FS)を突破し、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

 「こんな幸せな男は、今日は福岡で、僕ひとりだけだと思います」。選手たちの手による胴上げは7度。指揮官にとって、至福の時間ともいえる“本拠地での舞”に引き続き、お立ち台での優勝インタビューに臨んだ工藤公康監督は重圧から解放された安堵感があったのだろう。悩み、苦しんだ5試合の中で揺れ動いた心の内を吐露した。

「2連敗したとき、このまま負けるんじゃないか。その思いが心の片隅に残ったくらいでした」

 現行のCSが発足した2007年以降の過去10年、パ・リーグFSで初戦を落としたチームがステージ突破を果たしたことはなかった。つまり、データから導き出される日本シリーズ進出確率は、初戦敗退の時点で「0%」。さらに、3位からの下克上にあと2勝とした楽天は、3人で今季34勝を挙げた則本昂大、岸孝之、美馬学の3本柱を、ファーストステージからそれぞれ中5日で第3、4、5戦に先発させることができる。一方のソフトバンクは、右脇腹痛の柳田悠岐を欠く打線がつながらず、連敗した2試合の総得点は、ソロ本塁打3本の3点のみ。

 楽天の下克上、あるんじゃないのか――。

 開幕前の下馬評が一転したソフトバンクの連敗。そこには柳田の不在が大きな影を落としていた。パ2位の打率.310、3位の31本塁打、得点圏打率はリーグトップの.379を誇るポイントゲッターは、リーグ優勝決定後に故障し、先月21日に出場選手登録を抹消。懸命のリハビリにもかかわらず、FS開幕には間に合わなかった。開幕前、攻守のキーマンを欠いてのFS突入に「少なからず不安はある」と語っていた工藤監督の悪い予感は、恐ろしいばかりに的中してしまったのだ。

 まず1戦目。3点を追う四回無死一塁のチャンスで、柳田に代わり3番に入った中村晃が空振り三振。6回にも、2番・今宮健太の本塁打で追い上げの機運が高まりながら、続く中村はまたも空振り三振。結局、一度も楽天に追いつけないまま、1点差でゲームを落とした。2戦目も、得点は内川聖一のソロ本塁打のみ。3番・中村は、同点の6回無死二塁で送りバントを失敗。しかも、そのチャンスをつぶした直後の7回に楽天の勝ち越しを許してしまった。

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