安倍晋三首相を苦しめた加計学園の獣医学部(愛媛県今治市)新設問題を追及してきた市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表が、衆院選(22日投開票)に参戦する。
安倍首相の選挙区である山口4区から無所属で出馬すると6日表明し、本誌の取材に対し、その戦略を語った。
「森友・加計問題は、税金を使って一部の人だけが恩恵を受けているアベノミクスを象徴しています。私は、もっと庶民が恩恵を受けるような税金の取り方と使い方をして、大企業だけではなく、中小企業の活動や庶民の消費を活性化させたい」(黒川代表)
選挙戦では、森友・加計問題だけではなく、アベノミクスの対抗策として「消費税ゼロ」も訴える。出馬の準備は1カ月ほど前から進めていたが、民進党の解党問題で森友・加計問題の追及が消えてしまったことで、選挙の争点にするべく出馬を決意したという。
とはいえ、山口4区は安倍首相が圧勝を続ける“無風区”で、2014年の衆院選では旧民主党は候補者を立てることもできなかった。今回は、希望の党の藤田時雄氏や共産の西岡広伸氏らも出馬する予定だ。
それでも黒川氏は「勝てない戦いだとは思っていない」と話す。
「これまで山口4区ではリベラル陣営が声をあげづらい状況にあり、潜在的なニーズはあると思う。なので、森友・加計学園問題を追及するほかに、消費税ゼロに向けての具体的な方法を前向きなビジョンとして示すことで、市民の力を結集していきたい」
加計学園問題が、安倍首相の地元でも火を噴くか。(AERA dot.編集部・西岡千史)