同じ港区内でも、謝礼の相場は病院や医師の格によっても違ってきます。たとえば、港区のある名門病院の場合、「部長を指名して、手術してもらえば謝金の相場は50万円くらい」(病院に患者を紹介する医師)と言われています。高名な医師となれば、謝金の価格はさらに跳ね上がるようです。マスコミにしばしば登場する大学教授の場合、謝金の相場は「手術で大体100万円」(同大学に勤務する医師)だそうです。

■「名医」たちが自ら謝金を求めることはない

 誤解のないように言っておきますが、「名医」たちが、自ら謝金を求めることはなく、謝金を支払わなくても診てくれます。あくまで患者や家族が「自主的」に支払っています。経済的な余裕がない若い患者は謝金の額が少なく、支払わないことも珍しくないそうです。都内の病院に勤務する小児科医は「謝金をもらうことは皆無です。小児がんの子供を抱え、長期間の闘病生活を送っている若い夫婦には支払えません」と言います。都内の大学病院に勤務する内科医は「謝金をもらうことはごく稀です」と言います。内科の慢性疾患で長期間の入院が必要な患者が、謝金を支払うことは少ないからです。

 謝金の有無は、患者の事情にもより、ケースバイケースというほかありません。

■謝金を透明化できないか

 謝金の是非について、この場では議論しません。が、薄給である東京の私大病院の医師にとって、患者からの謝金が生活の糧になっているのは事実であり、世間の常識を超えた謝金を受け取っている医師がいることも事実です。

 手術1回で50万円から100万円もの大金を受け取っていることが国民に知られれば、医療の信頼は損なわれます。患者から病院への寄附金として処理し、透明化するのが理想です。ところが、肝心の医師から、そのような声は聞こえてきません。

 謝金の総額について、この問題を調査したことがある元マッキンゼー東京支社長の横山禎徳氏は「かつて私が推計したときには総額は8000億円程度でした」と言います。

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