漫才は会話の形式で行われる芸なので、漫才師にはしゃべりが達者な人が多い。しかも、漫才のネタの中には、本人たちが本来持っているキャラクターが反映されていることが多いので、それをバラエティ番組の現場でもそのまま生かすことができる。

 一方、ピン芸人の場合には、ネタの形式の自由度が高いので、初めから個性が強い人が多い。今年の『R-1』を制したハダカ芸のアキラ100%などはその典型だろう。ピン芸人は、個性を生かして何らかのギャグをやる、キャラを演じる、といったお決まりの形があるので、ワンポイントリリーフとして、バラエティ番組でも重宝されることが多い。だからこそ、突然売れる「ブレーク芸人」にはピン芸人が目立つのだ。

 その点、コントというのはお笑いよりも演劇に近く、決まった役柄を演じるものなので、素の状態を求められるバラエティ番組との相性が悪い。コントでどれだけ面白いことをやっていても、バラエティの世界ではその面白さを生かすのが難しくなってしまう。

 また、長年いろいろな芸人を見ていて個人的に感じているのは、そもそも漫才をやる人とコントをやる人は考え方が根本的に違うのではないか、ということだ。

 漫才を専門にする芸人は、漫才のように素に近い状態で人前で話すことが自然だと思っていて、コントのように役柄になりきって演技をすることに照れを感じる人が多い。一方、コントを専門にしている人は、漫才のしゃべりのように自然な状態の自分を人前で見せることの方がむしろ恥ずかしく、コントで自分とは別の役柄になりきっているときの方が堂々と振る舞える、と考えている。

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