甲子園で4番の重責を担った花咲徳栄の野村佑希 (c)朝日新聞社
甲子園で4番の重責を担った花咲徳栄の野村佑希 (c)朝日新聞社
清宮とともに早実の打線を支えた野村大樹 (c)朝日新聞社
清宮とともに早実の打線を支えた野村大樹 (c)朝日新聞社

 今年の高校生ドラフト候補は近年稀に見る野手の当たり年と言われている。高校通算本塁打記録を塗り替えた清宮幸太郎(早稲田実)、甲子園一大会最多となる6本塁打を放った中村奨成(広陵)以外にも安田尚憲(履正社)、村上宗隆(九州学院)、増田珠(横浜)など、プロからの注目度の高い強打者は多い。そして夏の地方大会、甲子園を見ると、その流れは途絶えることがないように感じる。そこで今回は、秋以降の新チームで注目の強打者たちにスポットを当てる。

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 まず右打者から紹介すると、今年の春から一気に注目度が高まっているのが野村佑希(花咲徳栄/一塁手、外野手、投手)だ。夏の甲子園では、6試合で5割を超える打率を残し、4番としての役割を見事に果たしてみせた。恵まれた体格でパワーも申し分ないが、それを持て余すことなく楽なスイングで遠くに飛ばすことができるところが特長だ。準々決勝・盛岡大附戦で放った先制ホームランは、内角低めの難しいボールを軽く払うようにさばいてレフトポール際に運んだもので、技術の高さがうかがえた。夏まではファーストを守ることが多かったが、投手としても140キロ台のストレートを投げる強肩だけに、外野手としても期待できる。

 逸材が揃う大阪桐蔭の中でも、打者としてスケールの大きさを感じるのが山田健太(三塁手)だ。いかにも大阪桐蔭らしい思い切りの良いスイングに加え、追い込まれてから広角に打つ上手さも兼ね備えている。サードから見せる強肩も見事だ。

 入学直後から中軸を任せられているのが石橋康太(関東一/捕手、一塁手)、森下翔太(東海大相模/外野手)、野村大樹(早稲田実/三塁手、捕手)の3人。

 石橋の強肩強打は中学時代から鳴り響いており、昨年夏の甲子園にはファーストで出場。堀瑞輝(広島新庄→日本ハム1位)から2安打をマークした。その後ヒザの故障もあったが、夏の東東京大会で4試合連続本塁打を放つ活躍を見せた。故障が完治すれば、打てる捕手として注目を集めることは間違いない。

 森下は、全身を上手く使う柔らかいスイングが特長。名門で1年夏から4番を任され、今夏の神奈川大会準々決勝では特大の2発を放ち存在感を見せた。強肩で外野手としての能力も高い。

 高校野球ファンにはすっかりお馴染みの選手となった野村は、1年夏から清宮の後ろを任せられ、ともに打線をけん引してきた。上背はないがパンチ力は抜群で、ここ一番の勝負強さも光る。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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