しかし、この「見える化」に成功している調査があります。図表は、テレワークを実行するに当たり、仕事をする(カフェ、自宅、オフィスなどの)環境条件によって、生産性に違いがあるのかを検証した結果です。イノベーション創出と世界の人々のより豊かな生活と仕事の実現に取り組んでいるアクセンチュアにより、ホワイトカラー5名の被験者で朝、昼、夜の3時間帯、カフェ、自宅、オフィスの3カ所の組み合わせで、1時間単位での集中力と仕事環境(温度、湿度、CO2、騒音)を計測したものです。このデータを見ると、実は生産性は、仕事環境の選択という意味で、ある程度自分でコントロールできるということがわかります。

 この検証結果では、仕事をしている気象環境、中でも気温、CO2濃度が低いと、集中して仕事に専念できる傾向にあることがわかりました。それぞれグラフの黄色い丸がオフィス、水色が自宅、赤がカフェです。オフィスは他と比べると集中力は低いものの、変動が少なく安定して集中力を発揮しています。次に、自宅は集中力の変動は大きいものの、平均するとオフィスに比べて高い集中力を発揮しています。そしてカフェは他の2つと比べ、気温、CO2濃度が低いため、高く、かつ安定した集中力を発揮しています。つまり、この3カ所で比較するとカフェが最も仕事に集中できるということがわかるのです。

■仕事に集中することに適した環境を創る

「あなたが本当に仕事に集中できる場所は、どこだと思いますか?」という質問を周囲の人に投げかけてみてください。オフィスと答える人は少ないのではないでしょうか。しかし、日本の企業の9割近くがテレワークを導入していない、つまり(職種にもよりますが)オフィスで仕事をすることを基本としているため、自分のデスクを離れて仕事をするわけにいかない人が多いのが実態だと思います。

 日本マイクロソフトでは、本当に膝を突き合わせて行う必要がある会議は除き、会議のほとんどがオフィス以外からオンラインシステム(スカイプ)で行われます。例えば、朝は通勤混雑を避けて自宅から、お客様との約束の合間にカフェ、空港のラウンジなどから、人によっては子どもたちの食事を作りながら会議に参加した人もいました。つまり、テクノロジーを活用して、時間や場所を問わずに働くことで、限られた時間で成果を出す働き方を実現できているのです。

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