危険防止なんだろう。組み立てもたくさんのビスを留めねばならず、不器用な自分は小一時間要してしまった。これだけでけっこうな運動に。くたくたになったところで、さあ、数十年ぶりにぶら下がってみよう。

 おかしいなあ。腕が痛くなって、10秒もぶら下がれないんですけど……。2日目、3日目と、数秒単位ではぶら下がれる時間が延び、けっこうな運動になることもわかったが、無理をしてこんなもんでケガでもした日には、カッコ悪いにもほどがある。4日目からはぶら下がるのはあきらめて、バーを下げ、ぶら下がり健康器ならぬ、つかまり健康器として使うことに。

 バーにつかまって、腰をひねったり、足を前後にぶらぶらしたり。ぶら下がれなかったショックから立ち直れないまま、あとの日数をようよう消化した。

 何より、ぶら下がり健康器と数十年ぶりの再会を果たして一番驚いたのは、洋服掛けと化して衰退したことを逆手にとって、「使わないときは洋服も掛けやすい!」と二次利用を推奨していること。実際に健康器のバーはハンガーが滑りにくく、洋服が掛けられるスペースを空けて、たくさん並べられる設計になっていたりする。このたくましさが、ロングセラーの秘密か。告白するが、うちのぶら下がり健康器も、8日目からは早々にコートが掛かり、今では洋服掛けとして大活躍中だ。(文/福光恵)

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