低迷に苦しむ巨人の高橋監督(右から3人目)ら首脳陣(c)朝日新聞社
低迷に苦しむ巨人の高橋監督(右から3人目)ら首脳陣(c)朝日新聞社

 交流戦も雨天中止による振替1試合を残して全日程がほぼ終了した。セ・リーグの順位を見ると、首位・広島、2位・阪神の首位争いから離されること10ゲームあまりの位置に、巨人が借金7(29勝36敗)の4位、ヤクルトが借金14(25勝39敗1分け)の最下位と、首都・東京を本拠地とする2球団が下位に沈んでいる。

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 2リーグ分立後のセ・リーグを振り返ると、巨人、ヤクルトの両チームがともに下位に低迷したシーズンは実に少ない。2015年の優勝争い(1位・ヤクルト、2位・巨人)は記憶に新しく、ヤクルトが2年連続最下位だった2013年、2014年には、巨人がリーグ3連覇。野村ID野球の最盛期だった1990年代にはヤクルトが4度のリーグ優勝を果たしたこともあり、「巨人対ヤクルト」の“首都決戦”に燃えたシーズンは数多く、この2チームは常にリーグの“中心”だった。

 近年では唯一、阪神が優勝した2005年に首都2球団がBクラス(4位・ヤクルト、5位・巨人)に沈んだが、それより前だと、広島が「江夏の21球」で日本一に輝いた1979年(5位・巨人、6位・ヤクルト)にまでさかのぼる。さらに巨人が球団創設以来唯一の最下位に沈んだ1975年(4位・ヤクルト、6位・巨人)も“首都低迷”のシーズン。巨人のBクラスが過去7度(1962年、1975年、1979年、1991年、1997年、2005年、2006年)ということもあるが、首都2球団がBクラスに沈んだシーズンは、それ以上に少ない。

 今季、巨人、ヤクルトの2球団がこのままBクラスでシーズンを終えれば、1962年(4位・巨人、6位・国鉄)を含め、1950年の2リーグ分立後の日本プロ野球おいて史上5度目のこと。巨人とヤクルトが5位&6位の“逆ワンツー”となれば、前述した1979年以来、史上2度目の“首都沈没”となる。

 この歴史的屈辱をいかに回避するか。交流戦では、ヤクルトは開幕10連敗が響いて最下位。巨人も交流戦開始前からの連敗が13にまで伸びたが、最後のロッテ3連戦に3連勝して12球団中10位となり、11位&12位フィニッシュは辛うじて逃れた。だが、セ・リーグの順位では中日が巨人と0.5ゲーム差の5位に付けており、まだまだ“史上2度目”の危機は去っていない。

 下位低迷の原因は多岐にわたるが、その中から数字的な面で抽出するならば、両チームともに本塁打数の少なさが挙げられる。首位・広島がリーグトップのチーム本塁打数70本であるのに対し、巨人が39本(リーグ5位)、ヤクルトが37本(リーグ6位)。ともにホームランが出やすい球場を本拠地としていながらの数字である。

 それは打線全体の迫力不足にも繋がっており、先制を許した試合は、巨人が6勝29敗、ヤクルトが9勝28敗1分け。終盤に試合をひっくり返す打力、気骨がなく、6回終了時点でビハインドを背負っていれば、巨人が勝率.067(2勝28敗)、ヤクルトは勝率.036(1勝27敗1分け)という低さだ。先制されても19勝19敗1分け、6回終了時点で負けていても勝率.269(7勝19敗)と簡単に屈しない首位・広島とは対照的である。

 果たして、巨人、そしてヤクルトに覆す力があるのか。シーズンの残り試合数はともに78試合。2020年の東京五輪を控える中、“首都沈没”だけは避けたいところだが……。