先週、加計学園問題が急展開した。ことの経緯は報道でご存知の方が多いだろうから割愛するが、「官邸の最高レベル」や「総理のご意向」という文言が含まれた文書が現れ、あたかも総理や官邸の意向に従って、総理の「腹心の友」である加計孝太郎氏の加計学園による学部新設が認められたのではないかという疑惑が問題の焦点となっている。
政府側はその文書の存在を否定しているが、前川喜平・前文部科学事務次官が、その資料は、「確実に存在した」「あったものをなかったことにはできない」などと証言したことで、「怪文書」の一言で片づけることはできない状況に政府が追い込まれたというのが、客観的な情勢である。
野党やリベラル勢力は、「潮目が変わった」と勢いづいているが果たしてそうなのか。加計学園問題が本当に政権を揺さぶる事態になるのかどうか。
私は、その行方を占うカギは、文科省の現職官僚の中から「四十七士」が登場するかどうかにあると見ている。
●「総理のご意向」は規制緩和ドリルはまやかし
前川証言が出てから、官邸周辺の御用コメンテーターたちがしきりに安倍政権を擁護する言い訳を発信し始めた。
その中で、一番まともに聞こえるのは、獣医師の業界団体である日本獣医師会の利権を守るために長年獣医師の数を増やさないようにしていた文科省が戦いに敗れて逆恨みしているだけだという解説だ。
この説では、「守旧派」である文科省に内閣府が安倍総理の方針である「規制緩和」を進めるために「総理のご意向」だぞと言ったことのどこが悪いということになる。
普通は「規制緩和」で既得権と戦うと言えば、正義の戦いだということになる。だから、担当省庁や業界、族議員の抵抗が強くても、世論に訴えれば優位な状況を作ることができる。私も規制緩和を担当しているときにそういう手法を多用したものだ。
しかし、今回、内閣府はそうした動きを全く見せていない。それは、世論に訴えると、まずい事情があったからだ。