ネットが悪いとか言っているわけじゃなくて、気軽に発信できるモノをみんなが持っちゃったってことですから。いままでは新聞を読んだりテレビを見てたりして、おかしいなと思う人がいても、それをどこにぶつければいいのかわからなかった。よっぽど悔しい人は新聞社に電話したり、苦情の投稿したりしていたけど、いまはそこまでの思いがなくても、思いつきでもすぐにスマートフォンで発信できてしまう。

 それが拡散されると「俺の意見もまかり通るんだ」、「わかってくれる人がいるんだ」と思ってしまう。便利な世の中になって、いままで埋もれていた声が表に出るのはいい面もあるけど、意見が通る危険も恐ろしさも実はあると思う。

 最近はテレビで誰かがこう言ったというのがすぐネットニュースになって、それが社会問題になることも増えた。そろそろ僕たちはその仕組みを理解しないといけないんじゃないかと思うんですよ。例えば、テレビを見ながらバイトのようなライターさんが記事を書いて、2、3千円の報酬を受け取るとする。それが広がって炎上することで、別の誰かが得するようになってるんだよ。そこで踊らされているんだよ。

 ツイッターにはリツイートばっかりしているアカウントもあるけど、金が儲からないとやんないですよね、そんな地道なこと。SNSのそういう仕組みを、もうちょっとみんなが覚えないと優しい社会にはならない。「またまた……」って少し引いた目線で見られるようにならなきゃ。

 でも、それには小学生ぐらいからの教育が必要で、10年とか20年かかると思うんですよ。SNSの道徳とかを既にやっている学校とかもあるけど、小さいうちから学んで下地を作っていかないと、ずっとこのままになっちゃうと思うんですよ。

 「ネット民」って言葉はもう死語ですよね。世の中みんなが「ネット民」。僕もそうだし。ニュースの見出しだけ読んでスマホを閉じちゃうこともあるし、完璧にできてるわけじゃないけどね。その怖さは知っているつもり。メディア全体が、テレビ屋がタレントがどうするか。情報をどう理解するか、ちゃんと考えなきゃいけないですよね。

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カンニング竹山

カンニング竹山

カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。単独ライブ 「放送禁止2017」が9月21~24日、東京・品川の天王洲銀河劇場で開催(撮影/写真部・小原雄輝)

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